宇津井健さんの婚姻届-法律上の婚姻か否かの違い

合掌

名優、宇津井健さんが3月14日にお亡くなりになりました。
テレビっ子だったので、たくさんの映画やドラマで宇津井さんの演技に楽しませていただきました。
ご冥福をお祈りします。

その宇津井さん、中国でも大人気で、その死を現地メディアが大きく報じています。
中国メディア追悼、理想の男性「大島茂」とは…
(記事抜粋)1970年代に大ヒットしたテレビドラマ「赤い疑惑」で、山口百恵さん演じる白血病を患った娘の父親だ。先日、82歳で亡くなった俳優の宇津井健さんが演じた。

そして、亡くなった日に婚姻していたことについても、ニュースになっています。
宇津井健さん、亡くなった日に再婚していた 「女性セブン」報じる
(記事抜粋)今月14日に慢性呼吸不全で死去した俳優の宇津井健さん(享年82)が、名古屋市内の女性(80)と死去する当日に再婚していたことが18日、分かった。19日発売の女性誌「女性セブン」が報じており、死の数時間前に婚姻届を提出。女性は宇津井さんの体調が悪化した約1年ほど前から献身的に支えており、宇津井さんが死の約2週間前にプロポーズしたという。

宇津井さんのイメージ通りの心温まる出来事だなと思います。

ニュースに関連して今回は、法律上の配偶者と、内縁の配偶者の違いについておさらいします。
実は法律上の婚姻か否かでは、大きな違いがあります。

1.民法での違い

・法律上の配偶者は相続する権利がある。内縁の配偶者には相続する権利がない。
・相続権に伴って発生する遺留分も法律上の配偶者のみに認められる。
配偶者の相続権については、(参考1)をご覧ください

2.税金での違い

税法では配偶者は法律上(民法)の婚姻者のことを指しますから、さまざまな軽減措置は法律上の配偶者に限られています。
・所得税における配偶者控除、配偶者特別控除は、法律上の配偶者のみ適用となる
・相続税における配偶者の税額控除、贈与税における配偶者控除、いずれも法律上の配偶者のみ適用となる
相続・贈与における配偶者の特典については、(参考2)をご覧ください

内縁関係のままでは、さまざまな権利を得られず、加えて税金面の特典が受けられないことになっています。特に、相続税では配偶者の税額控除を受けられるか否かの差は大きいです。

それにしても、死亡の日に婚姻届けを出すとは、宇津井さんらしいロマンを感じさせるエピソードですね。
相手の女性もかなりの実業家です。
ひょっとして自分より先に相手が亡くなった場合に、自分が相手の相続財産を受け取らないようにするために内縁を通してきたのかも?
などと考えると、ますますロマンを感じます。

参考1)配偶者の相続権について
民法における権利は、法律上の婚姻関係の配偶者にのみ認められます。
なお、子については法律関係の子(嫡出子)、内縁関係の子(非嫡出子)に関わらず同等となりました。
(平成25年9月最高裁判決)

民法上の違い

法律上の配偶者 内縁の配偶者
相続権 あり なし
法定相続分 1/2~3/4 ※ なし
遺留分 法定相続分の半分 なし

※配偶者の法定相続分は、次のとおりです
共同相続人が子供の場合は1/2、
子がいない場合で親がいる場合は2/3、
子も親もおらず兄弟姉妹がいる場合は3/4、

(参考2)相続・贈与における配偶者の特典について

①相続税における配偶者の税額軽減
相続財産の1億6,000万円、または法定相続分、のどちらか多い金額までを配偶者が相続する場合には、その税額を免除するという制度です。
この規定により、大抵の相続では、配偶者は相続税負担をすることなく、相続財産を取得することができます。
②贈与税額の配偶者控除
居住用不動産を贈与した場合、または居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、に基礎控除に加えて2,000万円までが非課税となる制度です。
なお、法律上の婚姻期間が20年以上の配偶者に限られます。

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