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相続税対策おすすめ選編

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相続税対策 実践編

相続税対策おすすめ選
生命保険・法人・孫への贈与まで

生命保険の非課税枠活用から法人設立・孫養子・生前贈与まで、実際に効果の高い相続税対策を事例と数字で具体的に解説します。しくみを正しく理解し、自分の状況に合った対策を選びましょう。

01

生命保険による相続税対策

生命保険は相続税対策と非常に相性がよく、節税・納税資金準備・遺産分割調整の3つの役割を担うことができます。

① 非課税枠による節税
💴

500万円×法定相続人数まで相続税非課税

② 納税資金の準備
🏦

現金で受け取るためそのまま納税に充当可能

③ 遺産分割の調整
⚖️

遺留分対策・代償分割の財源として活用

(1)生命保険金の非課税枠による節税

契約者と被保険者が同一の生命保険金は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税として扱われます。現金や預金はそのまま相続税の対象となりますが、生命保険金に変換することで非課税枠を活用できます。

EXAMPLE|法定相続人が4人の場合

非課税限度額:500万円 × 4人 = 2,000万円

現金2,000万円を保険金として受け取ることで、2,000万円分が相続税の課税対象外になります。

(2)生命保険金による納税資金の準備

相続税の納税は原則として現金納付です。財産の大部分が不動産の場合、納税のために不動産の売却を余儀なくされることがあります。また現金・預金で納税資金を確保していると、その現金も相続税の対象となり目減りします。

生命保険金は現金で受け取れるため、そのまま納税に充当でき、納税資金対策として有効です。

(3)生命保険金による遺産分割の調整

相続財産が自宅1軒のみで相続人が複数いる場合、財産の分け方は難しくなります。不動産を特定の相続人が単独取得する場合、他の相続人には遺留分として現金を支払う義務が生じ、争いの原因になりやすいです。

【活用例】相続人3人(長男・次男・三男)、財産が自宅1軒の場合

・長男に自宅を相続させ、生命保険金の受取人も長男に指定する

・次男・三男には長男から代償分割として遺留分相当額を支払わせる

・以上を遺言書として残しておく

→ 生命保険金を代償財産の財源とすることで、分割協議の紛争を防止できます。


02

会社を使った相続税対策

法人(会社)と相続税対策は一見無縁に見えますが、やり方次第で大きな節税効果が生まれます。主な方法は次の3つです。

1
個人→法人へ資産を移し、個人の相続財産を圧縮する
収益性のある不動産を法人に移転し、所得分散と相続財産の圧縮を実現
2
法人の株式評価(自社株)を下げる工夫をする
類似業種比準価額を活用した評価引き下げや財務コントロール
3
死亡退職金の非課税枠を活用する
500万円×法定相続人数の非課税枠(生命保険とは別枠)を利用

(1)個人資産を法人に移し相続財産を圧縮

収益性のある不動産を個人が持ち続けると、毎年の賃料収入に所得税、相続発生時には相続税と、累進課税が二重にかかります。法人に取得させることで次の2つの節税効果が生まれます。

節税ポイント①:所得の分散
法人化して家族を役員・従業員とし給与を支払うことで、所得を分散させて累進課税を抑えます。例えば不動産所得5,000万円を1人で受け取るより、家族4人で分けるほうが所得税の総額は大幅に少なくなります。

節税ポイント②:相続財産の圧縮
家族に分散された収益は、被相続人本人の相続財産から外れます。給与をプールしておけば、相続発生時の納税資金としても活用できます。

【注意】法人設立のデメリットと否認リスク
法人運営には税理士費用・登記費用・経理業務など個人より多くのコストと手間がかかります。また、会社の実態が伴わず節税目的のみとみなされた場合や、給与支払先の勤務実態が認められない場合、損金計上が否認され税負担が重くなるリスクがあります。一定の規模がなければメリットが上回りません。必ず専門家にご相談ください。

(2)法人の株式評価(自社株)を下げる工夫

法人に残った利益は原則として相続税の評価対象となりますが、類似業種比準価額を多く取り入れる工夫により評価を下げることが可能です。また相続発生前の時期に家族への給与を増やす、収益性はあるが評価の低い資産に組み替えるなど、法人の財務をコントロールして利益の蓄積を抑える方法も有効です。

(3)死亡退職金の非課税枠の活用

法人が死亡を原因として退職金を支払う場合、「500万円×法定相続人の数」までが相続税の非課税となります。しかも所得税の課税対象にもなりません。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)とは完全に別枠となるため、組み合わせると節税効果は倍になります。

なお、小規模企業共済から支払われる共済金も死亡退職金として同様の非課税枠が適用されます。


03

貸アパート・貸マンションの取得

不動産を活用した節税の中でも代表的な手法です。評価減のしくみの基礎については「相続税と不動産編」をご参照いただき、ここでは応用的な事例計算を中心に解説します。

(1)土地と建物(貸アパート)を取得した場合

1億円(土地5,000万円+新築建物5,000万円)のアパートを借入金5,000万円を使って取得した場合の相続税評価計算例です。(借地権割合60%、借家権割合30%、全室賃貸、小規模宅地等の特例を上限まで適用)

項目評価額
土地時価5,000万円
路線価評価減(▲20%)▲1,000万円
貸家建付地評価減(▲18%)▲720万円
土地 評価額3,280万円
建物時価(建築費)5,000万円
固定資産税評価減(▲40%)▲2,000万円
貸家評価減(▲30%)▲900万円
建物 評価額2,100万円
小規模宅地等の特例(貸付用▲80%)▲2,624万円
特例適用後 土地評価額656万円
借入金控除▲5,000万円
相続税評価額 合計△2,244万円

自己資金5,000万円を使うことになりますが、相続税評価額はマイナス2,244万円となり、この部分には相続税がかからないうえ他のプラス財産からも相殺できます。

【投資としての注意点】
①空室リスクが低いエリアで取得すること。空き家が増えると家賃収入が減り借入返済に支障が出ます。②建物・設備の修繕・維持費用を適切に見積もること。③節税のみを目的とした取得とみなされると否認される恐れがあります。借入過大・投資額過剰・相続発生前の駆け込み取得は否認リスクを高めます。

(2)所有している土地に貸アパートを建てた場合

既に土地を所有している場合(地主の方に多いパターン)に、その土地の上に貸アパートを建てた場合の比較です。

状況 相続税評価額
A:土地のみ保有(時価5,000万円) 4,000万円(路線価減後)
B:土地の上に貸アパートを建てた場合 △2,244万円(上記(1)と同条件)
節税効果(A→B) ▲6,244万円の評価減

土地のみ保有の4,000万円からマイナス2,244万円へ、6,244万円もの相続税評価額の圧縮が可能です。投資としての注意点は(1)と同様です。

(3)貸マンションを取得した場合

2024年からマンション評価の見直しにより、市場価格の60%水準に調整されています。マンション1億円(土地持分5,000万円・建物5,000万円)を借入5,000万円で取得した場合の計算例です。(借地権割合70%、借家権割合30%、全室賃貸)

項目評価額
土地時価(持分)5,000万円
路線価評価減(▲40%)▲2,000万円
貸家建付地評価減(▲21%)▲630万円
土地 評価額2,370万円
建物時価5,000万円
固定資産税評価減(▲40%)▲2,000万円
貸家評価減(▲30%)▲900万円
建物 評価額2,100万円
小規模宅地等の特例(貸付用▲80%)▲1,896万円
特例適用後 土地評価額474万円
借入金控除▲5,000万円
相続税評価額 合計△2,426万円

貸アパートよりさらにマイナス額が大きくなっています。特に注目すべき点として、マンションの敷地権は高層化するほど1区分当たりの持分面積が小さくなるため、小規模宅地等の特例(貸付用200㎡限度)の面積要件を満たしやすく、複数戸保有しても特例の範囲内に収めやすいという優位性があります。2024年の規制強化後も、他の節税手段と比較して一定の有利性が残っています。


04

孫への相続-世代飛ばしの相続の効果

通常「祖父→子→孫」と2回の相続で計2回分の相続税が発生します。子世代を飛ばして祖父から直接孫へ財産を渡すことで、相続税の課税機会を1回減らせます。

法定相続人でない孫への相続は相続税が2割加算されますが、それを考慮しても世代飛ばしのメリットは大きいことが以下の比較から確認できます。

相続税の課税財産2億円(法定相続人:各世代1名ずつ)で比較します。

相続内容 (A)子を経由して引き継ぐ (B)一部を孫に直接相続
課税価格 相続税 課税価格 相続税
祖父→子(親)の相続 2億円 4,860万円 1億円 2,430万円
祖父→孫への直接相続 1億円 2,916万円
子(親)→孫への相続 約1億5,140万円 2,916万円 約7,570万円 594万円
合計相続税・財産残額 税計:7,776万円
残:12,224万円
税計:5,940万円
残:14,060万円

(B)は(A)よりも合計相続税が1,836万円少なく、財産残額は1,836万円多くなりました。

孫に相続させるために必要な法的手続き

  • 遺言書で孫を受取人として指定する
  • 生命保険の受取人として孫を指定する
  • 信託契約を使って孫への承継を定める
  • 代襲相続(子が先に死亡した場合等)により相続人となる

05

孫養子の効果

孫を養子にすると法定相続人が増え、次の3つの節税効果が生まれます。

①基礎控除額が増加:3,000万円+600万円×法定相続人数 → 1人増えるごとに600万円増

②生命保険金・死亡退職金の非課税枠が増加:500万円×法定相続人数 → 1人増えるごとにそれぞれ500万円増

③累進課税が抑制:法定相続人が多いと取得分割が細分化され、適用税率が下がる

前節「孫への相続」ケース(B)をベースに、孫養子の有無で比較します。

相続内容 (B1)孫養子にしない (B2)孫養子にする
基礎控除 相続税 基礎控除 相続税
祖父→子(親)の相続
(課税価格1億円)
3,600万円 2,430万円 4,200万円 1,670万円
祖父→孫の相続
(課税価格1億円)
3,600万円 2,916万円 4,200万円 2,004万円
子(親)→孫の相続
(残額)
3,600万円 594万円 3,600万円 746万円
合計相続税 5,940万円 4,420万円(▲1,520万円)

孫を養子にすることで合計相続税が1,520万円減少しました。

孫養子のデメリット・注意点

  • 遺産分割協議を複雑にし、遺留分問題が生じやすくなる。養子は実子と同等の相続権・遺留分権を持つため、実子の取り分が減ることへの不満が生まれやすい。遺言書の準備がセットで必要です。
  • 孫養子は相続税額の2割加算の対象となる。「一親等の血族である養子(孫・玄孫)」は世代飛ばしの節税防止規定により2割加算が適用されます。ただしそれを考慮しても節税効果は残ります。
  • 相続税計算上の養子カウントには制限がある。実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までしか法定相続人として計算されません。

06

孫への贈与-生前贈与の効果

以下では孫養子にはなっていない前提で、各贈与方法を孫に活用した場合の効果を解説します。

(1)孫への暦年贈与

毎年110万円の基礎控除を使い10年間孫に贈与したケース(B)と、贈与しないケース(A)の比較です。(相続税の課税財産2億円)

ケース 合計相続税 財産残額
(A)贈与なし
祖父→子に2億円全額
7,776万円 12,224万円
(B)暦年贈与あり
10年間・毎年110万円を孫へ
7,072万円 12,928万円
差額 ▲704万円 +704万円

10年間で累計1,100万円を孫に贈与することで、相続税が704万円減少しました。長期間を要しますが効果は大きいといえます。

暦年贈与の3つの注意点

  • 相続開始前の一定期間の贈与は相続財産に加算される
    相続人への暦年贈与は、相続発生年から遡った期間分が相続財産に加算されます(下記参照)。ただし、相続人でなく かつ相続・遺贈を一切受けていない場合は加算対象外となります。孫(養子でない)への贈与は、孫が相続や遺贈を一切受けない場合に加算対象外となります。
  • 贈与の実態がないと名義預金とみなされ相続財産とされる。通帳・印鑑の管理が出資者のままでは贈与と認められません(詳細はNG集参照)。
  • 毎年同額・同日の贈与は一括贈与とみなされる恐れがある。一連の贈与として合算されると多額の贈与税が課される場合があります。毎年贈与契約書を作成し、送金日・金額を変えるなどの対策が必要です。

相続財産への加算期間(段階的拡大)

2024年 相続発生分 相続開始前 3年以内の贈与が加算対象
2025年 相続発生分 相続開始前 4年以内の贈与が加算対象
2026年 相続発生分 相続開始前 5年以内の贈与が加算対象
2027年 相続発生分 相続開始前 6年以内の贈与が加算対象
2028年以降 相続発生分 相続開始前 7年以内の贈与が加算対象(最大)

(2)孫への住宅取得資金等の贈与

住宅取得資金等の贈与特例を使うと、まとまった金額を一括で非課税贈与することが可能です。節税効果の仕組みは暦年贈与と同様ですが、一括で贈与できる点が大きなメリットです。暦年課税・相続時精算課税と併用することも可能です。

【注意】住宅取得資金等の贈与特例の非課税限度額は税制改正により頻繁に変更されます。贈与を予定する年度の税制を必ず確認し、適用には税務署への確定申告が必須です。

(3)孫への教育資金の一括贈与

教育資金の一括贈与特例を使うと、まとまった金額の一括贈与が可能です。利用するには贈与者が金融機関で「教育資金口座」を開設し、一括で入金する手続きが必要です。受贈者(孫)は教育費支払後に領収書を提出して払い出す仕組みです。

【主な注意点】
①受贈者が30歳時点で残額がある場合、原則として贈与税が課税されます。②2024年以降、贈与者の死亡前3年以内に行われた一定の贈与に相当する口座残高は相続財産に加算されます(2024年改正)。資金の使いきりを計画的に進める必要があります。

本ページでご紹介した対策は、それぞれのご家庭の財産構成・家族構成・将来の資産活用方針によって向き不向きがあります。具体的な対策の選択と実行は、税理士など専門家に相談のうえ、二次相続まで見据えたトータルプランで進めることをおすすめします。

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