5月21日に公開価格38ドルで上場したフェイスブック株ですが、2週間経った5月30日には28ドルまで下がり、4分の1以上もの価値を失いました。しかもいまだ下げ気配が続いており、下落は当面続きそうです。

▼ナスダック証券取引所での取引システム障害
▼モルガンスタンレーなどIPOの引受幹事会社によるインサイダー疑惑
▼公開2日前に25%も追加された売出し株数

急速な下落の原因は何か? さまざまな情報が飛び交い、犯人探しの様相となっています。
挙句には、怒りの矛先は、
■節税目的と批判される共同創業者サベリン氏のシンガポール国籍取得
という、株式公開とは関係のないところにまで波及しています。

低迷する株式市場の期待を一心に背負った期待の超新星。フェイスブック株はなぜこのようになってしまったのでしょうか?
「複合的な要因」、と通り一遍に片付ける前に考えてみたいと思います。

フェイスブックは、種類株式制度を取り入れており、新規公開で売出された株式は、議決権が10分の1になっています。このように議決権を抑えるのは、短期的な利益に惑わされることなく、長期的な視野にたった経営をするために経営陣による支配権を強固なものにしておくことが目的といわれています。
つまり議決権のみでいうと、現経営陣が持つ株式は、新規公開株に対して、10倍の価値を持ちます。
この辺りは、2月4日付の当ブログで解説していますからご参照ください。

これが今回裏目にでたのではないでしょうか。
というのも、公開株の売り出しをいくら増やしても経営陣は支配権を失う危険がありません。
10倍の議決権を持つ経営陣はセーフティゾーンにいて、他人の支配に脅かされることはない。
公開2日前に25%も売出し株数が追加された裏には、こうした事情が影響していると考えられます。

もっとも議決権に優劣をつける種類株式は、研究開発費が多額で長期にわたるハイテク企業では、よく使われています。フェイスブックだけが特別でもありません。それに、株式市場は需給で決まるものですから、値上がりするか値が下がるかは、種類株式とは直接は関係ありません。
下落の答えを求めれば、株式市場の需給を見誤って多く売出し過ぎた、ということに尽きます。

しかし多く売出された背景に、いくら売出しても支配権は脅かされない、という緩みが経営陣にあったことは否めません。
新規公開株式への投資では、種類株式にも注目しましょう。必要以上に売りされるリスクがありますから。