6月25日に「経営革新等支援機関」として認定されていましたが、先週、認定証が届きました。
「経営革新等支援機関」って何だろう?
という方も多いと思いますから、今回は経営革新等支援機関についてご紹介します。
経営革新等支援機関は、平たくいうと、
経営の苦しい中小企業に対して経営改善計画の作成を支援し、実行を見守る個人や団体
ということになります。
この登録制度は、中小企業金融円滑化法が平成25年3月に適用切れとなり、このモラトリアム法により借金の返済を猶予されていた中小企業が倒産してしまうのを少しでも減らすために創設されました。
経営革新等支援機関の登録は、平成24年11月認定分が第1回ですから、まだ実質1年も経っていない新しい制度です。
登録できるのは、中小企業の事業再生経験が豊富なコンサルタント、金融機関、税理士、会計士、弁護士などの各士業に限られます。
中でも税理士は、中小企業と最も多く接するため、全体の7割を占める最大の登録者割合となっています。
経営革新等支援機関が中小企業の経営を支援するとどうなるか?
経営革新等支援機関が関わることで、経営計画の合理性や実現可能性が高まり、お金を貸している銀行は融資を継続しやすくなります。
また、次のような優遇制度も用意されています。(注1)
種類 | 名称 | 実施・取扱 | 対象 | 優遇内容 |
融資 | 経営支援型セーフティネット貸付 | 日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、銀行、信用金庫 | 一時的に業況が悪化している中小企業など向け | 貸付利率を基準利率マイナス0.4%引下げ |
融資 | 中小企業経営力強化資金融資 | 同上 | 新商品開発など新たな市場創出を図っている中小企業など向け | 貸付利率を基準利率マイナス0.4%引下げ 1,500万円まで無担保・無保証人の場合の事業者負担なし |
融資 | 経営力強化保証 | 信用保証協会、銀行、信用金庫 | 中小企業など | 保証料率を概ね0.2%引下げ |
補助 | ものづくり中小企業・小規模事業者施策開発等支援補助金 | 全国中小企業団体中央会 | 試作開発や設備投資等 | 補助上限1,000万円 補助率3分の2 |
補助 | 地域需要創造型等起業・創業促進補助金 | 中小企業庁、各都道府県 | 新たに創業する者 | 補助上限200~700万円 補助率3分の2 |
税制 | 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 | 中小企業など | 器具及び備品(1台30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)の取得等をした場合、30%特別償却又は7%の税額控除 |
上の表のうち、税制優遇は、
経営革新等支援機関の助言を受けて作成した支援計画に基づいて、
平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、
器具備品、建物附属設備の取得等を行った、
場合に、
取得価額の30%の特別償却、又は取得価額の7%の税額控除を選択適用
できるものです。(注2)
特別償却では通常よりも早く取得費を費用化でき、税額控除では償却とは別に初年度だけ税額を減らすことができます。
比較すると税額控除の方が節税効果は大きいのですが、赤字経営のままではメリットは生かせません。
利益を出すことが大事です。
経営革新等支援機関の助言といっても、特別難しいことが会社に求められるわけではありません。
ある雑貨店での筆者の経験では、
目につく什器と照明器具を入れ替え、プロの清掃により隅々まできれいにしただけで、売り上げが上がりました。
毎日売り場に居ると案外気づかないもので、こんな簡単なことでも見違えるほどよくなることがあります。
もともと利益は出ている会社でもこの税制は使えます。
1台30万円の器具備品、60万円以上の建物附属設備の取得・リフォームなどを検討中の方は、税制の方もぜひ活用してください。
筆者の事務所でもご相談をお受けしています。
(注1)いずれも認定経営革新等支援機関の関与が必要です。
(注2)青色申告書を提出している中小企業者等に限られます。取得価額の7%の税額控除の適用は、資本金3,000円以下のみ対象となります。