ディズニーがスター・ウォーズを買収-税制優遇と寄付文化

ジョージ・ルーカス氏は、「スター・ウォーズ」のルーカス・フィルム社を米ディズニー社に売却し、その売却益約3245億円(40億5千万ドル)の大半を教育の慈善事業に寄付すると発表しました。

売却益40億ドルの大半を教育に寄付 ルーカス監督/2012.11.7朝日新聞デジタル

スター・ウォーズの1作目の公開が1977年ですから、もう35年もたっているのですね。
ライトセーバー、R2-D2、C-3PO、ファルコン号に夢中になった少年期が、つい昨日のように思い出されます。(目を細めて)
ファンとしては、スター・ウォーズのキャラクターがディズニーランド・ディズニーシーのアトラクションに登場してくる日が待ち遠しいです。

ルーカス氏は、慈善事業に寄付するために100%保有する株をディズニー社に売却したようですが、売却額にも寄付の額にも驚かされます。 さすがアメリカ! 寄付文化の国ですね。
アメリカは、チャリティの精神が古くから根付いていて、寄付に対する税制優遇でもこれを後押ししています。
日本でもアメリカの寄付税制を取り入れて優遇をどんどん大きくしてはいますが、文化が違いますから拡がりに欠けますね。

なぜ日本では、寄付文化が根付かないのか?
日本の主に寄付金税制の視点で考えます。

個人が寄付金を支出した場合、一定の条件に当てはまれば、所得税・住民税ともに控除を受けられます。(注)
寄付の相手先によって、控除できる金額が違いますが、国や地方公共団体への寄付が最も優遇されています。
◆国や地方公共団体やその関連団体
◆特定公益増進法人・・・・・公益社団法人、公益財団法人、私立学校法人で学校等の設置を主たる目的とする法人、                          社会福祉法人、更正保護法人
◆認定特定公益信託・・・・・教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与
するものとして主務大臣の認定を受けたものに対する信託財産とするために支出
◆認定NPO法人・・・・・・・・特定非営利活動事業に関連した寄付
◆特定地域雇用等促進法人
◆特定新規中小会社・・・・・特定のベンチャー企業への出資で、特定新規株式を払い込みにより取得した場合

国や地方公共団体以外の団体は、
・国などから認定を受けなければいけないが、認定基準や手続きが複雑。
・寄付金控除を受けられる認定団体かどうか、あまり周知されていない。かつ、わかりにくい。
・そして、国や地方公共団体ほどは税制優遇されていない。
ことが理由で、寄付金集めに四苦八苦している団体が多いと思います。

ところで、上の対象団体の中でユニークなのが、特定新規中小会社への出資です。いわゆるベンチャー企業への出資で、寄付金控除が受けられ上に、事業が成功した場合には見返りも期待できます。特定新規中小会社への寄付金控除は、出資が1,000万円以内で、かつ他の寄付金と合わせて総所得金額等の40%が上限となっています。
ベンチャー企業に関心がある方は、要チェックです!

(注)値上がり益のある資産を無償で譲渡すると原則として譲渡益課税がされますが、一定条件の寄付であればこの譲渡益課税も免除されます。
ルーカス氏の資産も、経済誌の推定では約2646億円でしたが、ディズニー社への売却は約3245億円と報じられています。それだけ値上がり益が大きいということですが、この値上がり益には課税されないものと考えられます。

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