FAQ
不動産所得(賃貸収入)と申告について
- 青色申告とは何ですか?
- 青色申告とは、一定の要件を満たすことで、事業規模であれば「65万円控除」、事業規模でない場合は「10万円控除」を受けられる制度です。
65万円控除を受けることで、所得税や住民税の税率を掛けた分だけ節税が可能になり、例えば、所得税率が33%、住民税が10%の場合、650,000円の控除で約279,500円の節税が見込めます。
- 青色申告のメリットは何ですか?
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表にすると次の通りです。
項目 青色申告(事業的規模) 青色申告(小規模) 白色申告 青色申告特別控除 複式簿記で65万円控除 10万円控除 控除なし 専従者給 全額を必要経費に計上可能(事業的規模) なし 制度あり(事業的規模のみ) 家屋取り壊し・火災等による損失 必要経費に計上可能 不動産所得内の金額を限度に計上 事業的規模で全額計上可能 貸し倒れ損失 必要経費に計上可能 所得修正が可能 事業的規模のみ全額計上可能 純損失の繰越 3年間繰越可能 3年間繰越可能 繰越不可 経費処理 30万円未満で取得した資産は経費処理可能 30万円未満で取得した資産は経費処理可能 10万円以下は経費処理可能 小規模企業共済 加入可能 加入不可 加入可能
- 青色申告の一定の条件とは何ですか?
- 青色申告を行うには、適用する年度の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。 不動産賃貸を初めて開始する場合には、「青色申告承認申請書」の提出期限は2ヶ月以内となります。
65万円の控除を受けるためには、不動産賃貸が事業的規模と認められる場合で、かつ複式簿記による決算書(収支計算書、貸借対照表など)の作成を行っていることが必要になります。
10万円の控除を受ける場合には、簡便な記帳(収入と支出の記帳のみ)で認められ、貸借対照表の作成は不要となります。
- 青色申告で65万円の控除を受けられる事業的規模とはどのくらいの規模ですか?
- 不動産の貸付が「事業的規模」と判断されるかは、賃貸物件の数や収入、管理体制などの要素を総合的に評価することで決まります。
実務的には形式的規準にあてはまる場合には事業的規模と判断し、形式的規準にあてはまらない場合でも実質基準にあてはまると判断できれば、事業的規模となります
- 業的規模の判断基準となる形式的規準を教えて下さい
- いわゆる5棟10室規準といわれるもので具体的には次で判断します
・アパートやマンションなど共同家屋の貸付は、独立した賃貸可能な部屋数が合計10室以上である
・一戸建ての貸付は、原則として5棟以上である
・貸室と賃家の両方がある場合、貸室2室は賃家1棟として換算する
・駐車場は5件を1室として換算する
- 事業的規模の判断基準となる実質規準を教えて下さい
- 以下の要素を総合的に検討して事業性があると判断される場合には事業的規模となります。
・収益性・有償性の有無
・継続性・反復性の有無
・自己リスクと計算による事業遂行の有無
・労力の程度
・設備・物的施設の有無
・取引の目的
※地方税の規準として、各都道府県では不動産賃貸業や駐車場業に関する事業認定基準が設けられています。
- 不動産所得からどのような経費を引くことができますか?
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科目 内容 租税公課 土地・建物の固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録の登録免許税、収入印紙、印紙税など(所得税や住民税は不可) 賃金給与 不動産賃貸業務に関して従業員に支払う給与(家事上の従業に関するものは不可) 損害保険料 火災保険料、自動車保険料 減価償却費 建物、建物附属設備、自動車等の固定資産の法定償却費 修繕費 建物、建物附属設備の維持管理費用、災害による修理費用、リフォーム費用など 借入金利息 土地・建物購入のための借入金の利子(取得前の利子は資産計上) 管理委託費 賃貸物件の管理会社への手数料 旅費交通費 運賃、タクシー代、ガソリン代 通信費 電話代、インターネット代 新聞図書費 雑誌代、新聞代 接待交際費 飲食代 消耗品費 事務用品費、10万円未満の備品 水道光熱費 賃貸物件用の水道光熱費 立退料 立ち退きのための費用 その他 税理士報酬、ローンの借換え諸費用
- 海外赴任が決まりました。不動産の収入の申告はどうなりますか?
- 転勤などで給与所得者が1年以上海外に滞在すると、日本国内での所得税は発生しませんが、国内に不動産を保有し賃貸している場合は確定申告が必要になります。
出国期間中は「納税管理人」を設定することで確定申告を代行できます。
- 法人成りが有利と聞きますが、個人事業と法人の違いは何ですか
- 売上規模が大きくなるほど法人が多方面で有利になります。
法人と個人事業の違いのポイントは次になります。項目 個人事業主 法人 経費 経費計上できる範囲は限定的で、事業に直接関係のある費用のみ。自宅や車両などの経費化は条件が厳しい。 経費計上の幅が広く、給与、役員報酬、福利厚生なども経費として扱える。節税効果は法人のメリット。 社会保険 社会保険の加入は任意(ただし、国民健康保険や国民年金への加入は必要)。 社会保険の加入は義務。従業員を雇う場合、健康保険・厚生年金への加入も必要で、企業側が半額負担する。 税率 所得税率は利益が多い税率が高くなる累進課税で、最高では55%(住民税含む)に達する。 法人税率は一律34.33%。
中小企業の場合、所得400万以下は、21.42%、800万以下は23.2%と軽減される。損失繰越 損失の繰越は3年間までと期間が短い。 損失の繰越は最大10年間までと長く、損失を無駄なく、後年の利益と相殺できる。 相続 個人の資産は区別がなく、相続時にすべてが相続税の対象となる。 法人の資産は個人資産とは区別され、株式として相続税の対象となる。 所得分散 所得を分散する方法は少ない。家族従業員に給与を支払うことはできるが制限がある。 役員報酬や配当金の分配などで、家族間の所得分散がしやすい。役員報酬や従業員給与として支払うことで節税も可能。