ヨーロッパ経済の不調の波を受けて、再びリストラ圧力が強くなってきました。
特に輸出産業を中心とした人員削減が加速してきています。
NEC、早期退職に2393人応募 合理化にメド/日経電子版2012/8/28
オリンパス、100人の希望退職募集 削減計画の一環/日経電子版2012/8/31
SUMCO、希望退職に671人応募 費用65億円を第3四半期に/日経電子版2012/9/7
パナソニック、30代も希望退職対象 本社スリム化/朝日新聞デジタル2012/9/14
むしろ幸せ? ヨーカ堂を去る社員/日経電子版2012/9/14
長年勤めた会社を止む無く去るかたは、これからの生活に不安を感じているかと思います。
そこで退職時の税金と社会保険について、2回に分けて説明します。今回は退職金の税金です。
退職金には所得税(国税)と住民税(地方税)が課税されます。
退職によって一時に受ける給与は、退職所得として扱われます。
税金を計算するためには、まず退職所得金額を計算します。
退職所得金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額というのは、退職金が長期間の勤務によることから各年の経費相当分として差し引かれるものです。年数に応じて次のように計算します。
(勤続年数20年まで) 40万円×勤続年数 ※80万円未満の場合は一律80万円
(勤続年数20年超) 70万円×20年を超える勤続年数+800万円
退職所得金額に税率を掛けたものが税額です。計算式は次の通りです。
<所得税額>
所得税額=退職所得金額×税率-控除額
税率は退職所得が多いほど高くなります。税率と控除額は、税率表を参考にしてください。
<住民税額>
(平成24年12月31日まで受取の場合) 住民税額=退職所得金額×10%×90%
(平成25年1月1日以後に受取の場合) 住民税額=退職所得金額×10%
平成25年以降は、それ以前と比べて10%税額が増えます。ご注意ください。
(計算例)
退職金2,000万円、勤続22年、平成25年1月1日受取の場合
退職所得金額530万円=2,000万円-(70万円×2+800万円)×1/2
所得税額63.25万円=530万円×20%-42.75万円
住民税額53万円=530万円×10%
計算例では、退職金に係る税金は合計で116万円となりました。退職所得に係る所得税分は勤務先が源泉徴収し、住民税分は翌年に市町村に自ら納付します。退職所得は、通常は勤務先が所得税分を源泉徴収し支払調書を提出しますから、この場合は所得税も住民税も確定申告の必要はありません。なお、総所得金額など他の所得があり所得控除や税額控除が引き切れない場合には、確定申告をすることで調整することができます。
勤続5年以下の役員の退職金は、退職所得金額が上記の2倍となり、税額もかなり高額になります。勤続5年以下の役員に該当する方は注意してください。
モラトリアム法の期限切れの影響もあり中小企業のリストラも増えていくことが予想されます。しかし一時的にはリストラで退職となっても、経験を買われて引く手あまたのケースもあります。次のチャンスをぜひつかんでください。
「ぜひ我が社へ」解雇従業員に採用申し入れ殺到/読売オンライン2012/9/7
次回は、失業給付や助成金などの制度を説明します。 →次回はこちらです