再生医療の切り札といわれる「万能細胞」。
「万能細胞」があれば、さまざまな体の器官・臓器さえ作り出し、さらに移植することも将来的には可能となると見込まれています。
医学の進歩はすさまじいですね!

「STAP細胞」は、その万能細胞をiPS細胞よりもっと簡単に作り出せる方法として、英科学誌ネイチャーに2014年1月29日に掲載されました。
「STAP細胞」は、世紀の大発見として華々しく報道されたものの、その後多くの問題点が見つかり、論文取り下げという事態となっています。

残念に思います。

それは、
STAP細胞が実在しないのではないか?
という大発見が幻だったかもしれないことに対する残念な気持ち

より強く残念に思うのは、
あまりにも小保方さん個人や研究者への非難が強過ぎることです。
これでは、
研究者は画期的な大発見の発表を恐れ、
研究者を志す者が少なくなる、
のではないかと、とても心配です。

研究者は、未知の世界の冒険者。
仮に失敗があったとしても、大目に見て欲しいなと切に願います。

日本にとって、研究開発は生命線です。
資源の少ない日本は、優れた製品やサービスを生み出し続けるしか、生き残る手立てがありません。
他国と競争するうえでも、研究開発はとても重要なのです。

寝食を忘れて研究に打ち込む研究者も多いと聞きます。
今回の件で萎縮しないで頑張ってください。
応援しています。

ところで、
企業が研究開発を進めるためのインセンティブにはさまざまなものがあります。
このうち税金面での優遇について、今回は「研究開発費税制」を説明します。

「研究開発費税制」には、4種類の制度があります。
(1)「試験研究費の総額に係る法人税額の特別控除制度」→(以下、[総額]と略)
試験研究費総額の8~10%を税額控除
(2)「産官学連携の共同研究・委託研究等にかかる特別試験研究費の特別控除制度」→(以下、[産官学]と略)
試験研究費総額の12%を税額控除
(3)「中小企業者等が試験研究費を支出した場合の法人税額控除制度」→(以下、[中小]と略)
試験研究費総額の12%を税額控除
(4)「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」→(以下、[増加]と略)
試験研究費の増加額の5%の税額控除、または平均売上金額を超える試験研究費の一定割合

それぞれ青色申告であることなどの要件がありますが、要件に合う場合には組み合せて適用することができます。組み合わせのパターンは次のとおりです。(注1)

パターン[総額] :[総額]+[増加]
パターン[産官学]:[総額]+[産官学]の上乗せ +[増加]   (注2)
パターン[中小] :[中小]+[増加]


(図出典:経済産業省)

なお、この制度の対象となる試験研究費は、製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究のために要する費用で、以下のものをいいます。

試験研究費の対象例
試験研究費の対象 試験研究費の対象外の一例
○ 試験研究を行うために要する原材料費、経費、人件費(専門的知識を持って研究業務を専属にしている人に限る)
○ 試験研究の外部委託費用
○ 技術研究組合員が組合に支払う費用
〇試験研究に使用する機器の減価償却費
× 量産化のための試作費
× 完成の製品検査に関する活動費
× 仕損品の手直し、再加工費など
× 顧客の要望による設計・仕様変更費等
× 不具合の修正よる設計・仕様変更費等
×通常の製造工程の維持活動費

税額控除とは、法人税額から差し引ける金額で、大きいほど税負担が軽くなります。
研究開発費税制では、通常の費用化と別に税額控除ができますから、ある意味2重に費用化できることになり、とても有利な取扱いになっています。
試験研究費に該当しそうな支出があれば、ぜひご検討ください。

(注1)控除額の上限は、上記[総額][産官学][中小]は法人税額の20%(2014年度末までは30%)、上記[増加]は法人税額の10%までとなっています。
(注2)「[産官学]の上乗せ」とは、次の計算式です。
特別試験研究費の額×(12%-[総額]の税額控除割合)