医療費控除のまとめ方-確定申告のポイント

確定申告

確定申告の時期が到来しました。
資料を揃えたり、準備をされているところではないでしょうか?

「この処理はどうやっていたっけ?」
確定申告を毎年されている方でも、1年前のこととなると結構忘れていたりします。
年末調整だけで済むサラリーマンの方だと、確定申告そのものに戸惑ったりします。

特に、医療費控除は、準備と計算に手間がかり、迷い易いといえます。

・領収書を何枚か紛失した
・どこまでが医療費なのかわからない
・せっせと領収書を集めたのに10万円を超えないのでがっかりした

などなど

今回は、医療費控除のまとめ方について、確定申告が初めての方でもわかりやすいようにご説明します。

1 医療費控除とは?

同じ生計で暮らしている親族(例えば家族)のために医療費を支払った場合に、所定の金額を所得から差し引くことができる制度です。医療費の負担が多いほど、税金は少なくなります。

2 医療費控除のまとめ方

①レシートや領収書を集める
医療費控除を受けるためには、医療機関や薬局に支払った際に受け取ったその年1年分のレシートや領収証が必要です。健康保険組合が発行している「お知らせ」や「明細」では受けられません。
医療機関は、領収書の再発行は行いません。また領収書は紛失しやすいので、受け取った都度、大きな封筒に入れておくなどして保管しておきましょう。

②補てんされる金額を調べる
治療や入院などに対して、生命保険や損害保険から入院給付金、高額療養費、出産育児一時金などを受け取っている場合には、支出した医療費から差し引きます。
受け取ることが確実なものは、見込み額で差し引いておく必要があります。

③医療費の合計額を計算する
集めた医療費の領収書(上記①)を合計します。
合計するにあたって、次の順序でひとまとまりにして、まとまりごとに合計します。
受診した人ごと→支払先ごと(病院、薬局等の別)

そのうちに補てんされている金額(上記②)があれば、対応するものから差し引きます。
ここでは、差し引いたものを、仮に医療費負担額と名付けておきます。
 医療費負担額=支払った医療費合計①-補てんされた金額②

同じ世帯で支払った医療費は、所得が多い人に集めて、医療費控除を受けるようにします。
例えば、ご主人のみに所得がある場合は、ご家族全員の医療費を合計して、ご主人が医療費控除を受けると得になります。ご夫婦共に所得がある場合も、所得が多い方に寄せて医療費控除を受けるとお得です。
これらの計算は、エクセルなどの表計算ソフトで作成しておくと、確定申告の際に便利です。
国税庁フォーマット「医療費の明細書

④10万円を超えているか確認する
医療費控除は、10万円以下は足切りとなります。
10万円を超えた部分が所得から控除できることになります。
 医療費控除額=医療費負担額③-10万円(※)

なお、その年の所得金額が200万円未満の人は、足切り額は10万円ではなく、所得金額の5%となります。
計算例を参考1に記載しています。

⑤税務署所定様式に記入する
計算した結果、足切り額以上となり、医療費控除を受けられる場合には、税務署所定様式に金額を記載し、領収書を入れ、確定申告書に添付して税務署に提出します。
なお、etaxを使って電子申告する場合には、領収書の提出は省略できます。

3 医療費として認められる範囲は?

医療費控除は、「治療のために必要なもの」であれば対象となります。
治療ではない、「予防」や「健康」、「美容」といった理由のものは対象となりません。
「治療のために必要なもの」には、通院のための交通費も含まれます。
トピックスに具体例を記載していますので参照してください。
→具体例はこちら

保険診療だけであれば10万円を超えることは少ないですが、歯の治療など自由診療を受けるとすぐに10万円を超えてしまいます。
10万円を超える治療をした場合には、医療費控除が受けられますから、大きい医療費の出費がある年であれば、小さい出費の領収書もマメに保管しておくことをお勧めします。

(参考1)医療費控除の計算例
例1)
所得金額200万円以上の方が、出産した年に出産費用50万円とその他の医療費10万円を支払い、出産育児一時金として42万円を受け取っている場合
60万円-42万円-10万円=8万円(医療費控除額)
例2)
所得金額120万円の方が、医療費10万円を支払い、保険等で補てん金が無い場合
10万円-0万円-6万円=4万円(医療費控除額)
※120万円×5%=6万円が足切り額となります。

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