盲点を突いた消費税逃れ-輸出品と消費税

消費税の不正還付事件がここに来て続々と発覚しています。
前回ブログで輸入取引使った消費税逃れを取り上げましたが、今度は輸出免税を使った不正が発覚しました。

同じ商品を何度も輸出入、消費税4億円近く不正還付/朝日新聞デジタル

事件は、カメラ部品の商社約10社が、輸出免税の制度を悪用し、輸出した商品を再び輸入する行為を繰り返し、何度も消費税の還付を受けていたものです。

消費税は国内での消費が対象ですから、海外での消費対象外です。輸出品は、海外での消費が前提ですから日本の消費税はかかりません。これが輸出免税です。(下図右端)
輸出品は、国内で生産や取引されているため、その過程で消費税がかけられています。
このため輸出免税となる商品は、仕入れにかかった消費税が還付されます。

輸出免税は、他国でも取り入れられています。
インボイス制度のヨーロッパでは、課税売上を証明する書類をつけるため課税業者からの仕入れでなければ還付は受けられませんし、その気になれば、仕入れに偽りがあるかどうか取引履歴から調べることができます。
日本の消費税では、仕入先が課税業者でなくても還付は受けられますし、仕入れが偽りかどうかもその仕入先を調査しなければわかりません。
特に輸出品は、商品移動の履歴が途絶えますから、繰り返し同じ商品を輸出入してもわからないのです。
今回は大胆な手口ですが、日本の消費税制度の構造的な脆さを突いた不正といえます。

ここでもキーとなる役割を果たしているのが国内のペーパー会社です。
消費税を実際には納付しないのに、消費税の「増幅装置」としての役割を果たしています。
前回同様、国内にあって消費税を増幅するペーパー会社を使った不正還付ということになりますが、ここを防止できなければ同じ事件は再発するでしょう。

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