ソニー復活への道-ソニー、ニューヨークのタワー売却検討

ソニーは、事業不振により2012年3月期に過去最悪となる5200億円の赤字を計上しました。
財務体質改善のためにニューヨークのタワービルの売却を検討と報道されています。
ソニー、マンハッタンの37階建てビル売却か(読売オンライン)

newyork

 

 

もともとこのソニータワーは、AT&Tが所有していた、1984年建築の37階建て197メートルの超高層ビルです。ソニーは2002年に2.36億ドルでAT&Tから取得しています。
2002年当時の為替相場は、ほぼ120円を超える水準の円安でした。仮に120円で換算すると購入価格は283億円になります。

今回の報道によれば、資産価値は7億~10億ドル(約555億~794億円)と見積もられていますから、少なくとも2倍に値上がりしていることになります。
ソニーが今回、マンハッタンのビルを売却する見込みと報道されたのは、本業のエレクトロニクス事業の不振が理由ですが、なぜこのように推測されるかというと、含み益がある資産の売却は、体質を改善にはもってこいの手法だからです。

資産の売却のことを、バランスシートから外すという意味でオフバランスといいます。
含み益があるビルを売却すると、なぜ財務体質が改善されるのかというと、次のような効果があるためです。
〇売却益が出るので債務と相殺できる。累積債務も減らせる。
〇キャッシュが入るため借金を減らせる。
〇資産が減るため、ROAなど投資指標が良くなる
含み益は言い換えれば過去からの蓄えであり、営業努力もせずにたやすく利益を上げることができます。

巨額の赤字が生じているときには、含み益を出してもキャピタルゲインは赤字と相殺されるため税負担もありません。それに、世界的に景気が減速し、投資マネーが細くなっているとはいえ、世界経済の中心ニューヨークのしかも一等地のAクラスビルですから、買い手にも困らないでしょう。
ソニーが売却を検討しているとしても、もっともな感じはします。

ウォークマンにお世話になった私としては、ソニーの凋落は寂しいものがあります。
再び、日本を代表する世界企業として、ぜひ輝きを取り戻して欲しいところです。

※バランスシートとは、会社の財産状態を記録した表です。資産、負債、資本が表示されます。
※ROAとは、総資産利益率の意味です。資産からどれだけ利益を上げたかを示す率で、高いほど良いとされます。

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