内閣府と厚生労働省、文部科学省は、保育所や幼稚園へ貸与される土地にかかる相続税と贈与税を非課税とする要望を平成29年度税制改正に盛り込むそうです。
成立すれば、都市部の土地所有者からの保育所用地の供給が増え、待機児童の解消にも弾みがつきそうです。

ポイント

  • 貸与土地が非課税になる
  • 贈与税も非課税になる

ヨークシャテリア子犬

保育所に子供を預けられないために子供を産むことをあきらめていたり、生まれたからやむなく仕事を退職しなければならない女性にとってはグッドニュースですね。
少子化対策や労働力の減少対策として、役に立ちそうです。

でもなぜ、保育所用地はそんなに足りていないのでしょうか?

  • 一つには、ビジネス的に保育所や幼稚園は大儲けができないから
  • もう一つには、公的な土地を保育所に使おうとすると、周辺住民の強い反対がある
からと考えます。

ビジネス的に参入するほどの事業ではなく、公的な土地は周辺住民の反対が多く、使いづらい。
そういうジレンマがあって、保育所や幼稚園への土地利用が進まないのでしょう。

「保育所や幼稚園へ貸与される土地の相続税や贈与税が非課税」となれば、地主さんにとってはかなりの優遇策になるのではないでしょうか。
相続税の負担は結構重く、最高では55%の税率で課税されます。
財産のほとんどが土地であれば、相続税を払うために土地を切り売りすることもありますから。

「例え相場より安い賃料で貸したとしても、相続税や贈与税がかからないのであれば、まあいいか」
と考える地主さんも少なからずいるのではないかと思います。

  • 地主さんが、安い賃料で保育所用地として貸し出すならば、保育所の経営も軌道に乗りやすい
  • 地主さんが、保育所用地として貸し出すに対しては、周辺住民は反対しにくい
ということになれば、案外うまくいくかもしれません。

問題はその条件、相続税と贈与税を非課税となるための要件です。
条件があまりに厳しくなり過ぎると、地主さんとしては二の足を踏みます。
今までの経験から、このような法案で要件が厳し過ぎて活用されず、思惑が外れたということは多々あります。

そこで、現行の「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」の制度をたたき台に少し考えてみます。

 

「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」とは

幼稚園によっては経営母体が個人となっているところがあります。
個人で幼稚園の土地や建物を所有している場合、当然個人財産として相続税の課税対象になります。
しかし、相続によってその幼稚園がなくなってしまうと、その地域の公益的資産が失われてしまい地域の人は困ります。そこで、一定の要件を満たせば、幼稚園に使われている土地と建物については相続税が非課税とされています。

「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」の要件はハードルが高いです。

  • 相続税、贈与税又は所得税に関して、無申告加算税、重加算税又は不納付加算税を課されたことがない
  • 幼稚園が少なくとも相続開始前の5年前から継続して運営されている
  • 相続人が引き続いてその事業を行なうことが確実と認められる
  • 国税庁が定める家事充当金限度額以内であること(超えた額は非課税とならない)

ハードルは高いですがこれをクリアすれば、幼稚園の土地や建物については相続税を免れることができます。

 

平成29年度税制改正では、土地の貸与が新たに対象となる

「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」はあくまで、幼稚園の経営者個人が持っている土地と建物が対象でした。
そのため既存の幼稚園には、相続税はかからない恩恵があっても、これから保育所や幼稚園を始めようとするインセンティブ効果はありませんでした。

平成29年度税制改正で土地の貸与が対象となれば、自ら保育所や幼稚園の経営をしなくても良いので、地主さんにとってはハードルがかなり下がります。
また「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」では贈与は対象外でしたが、改正により贈与も対象になれば地主さんにとってはさらに魅力的です。

それでは、
法案に先立って、「保育所や幼稚園への土地貸与が非課税」の要件の “希望的私案”を考えてみます

  • 地主さんに、相続税、贈与税又は所得税に関して、無申告加算税、重加算税又は不納付加算税を課されたことがない
  • 保育所または幼稚園の運営者は許認可を得ていること
  • 保育所または幼稚園の運営者が廃業した場合は、地主さんが次の運営者を募集している実態があること
  • 保育所または幼稚園の運営者が地主さんの親族である場合には、運営者に対して「幼稚園用地と建物の相続税の非課税」と同様の要件を満たすこと

 

 

経済的な面がともかく、子供が増えると世の中にも活気が出てきます。
ぜひ活用される制度にして欲しいですね。